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H.264とH.265(HEVC)の違いと選び方|圧縮効率・互換性・エンコード速度

2026-04-03

H.264(AVC)とH.265(HEVC)は現代の動画配信で最も広く使われる映像コーデックです。H.265はH.264の後継規格として約50%高い圧縮効率を持ちますが、エンコード時間と互換性のトレードオフがあります。VideoAudioTuneは両コーデックに対応しており、映像はストリームコピー(再エンコードなし)で処理します。

H.264(AVC)の特徴

H.264(Advanced Video Coding・AVC)は2003年にITU-TとISO/IECによって規格化された映像コーデックです。MPEG-4 AVC とも呼ばれます。10年以上にわたって映像配信の標準として君臨しており、世界中の機器・ブラウザ・プラットフォームで対応しています。スマートフォン・PC・テレビ・BluRay・DVDプレーヤーなどほぼすべての機器がH.264のデコードをサポートしています。

H.264はハードウェアデコードに広く対応しており、省電力・低発熱で再生できます。エンコード速度も比較的速く、リアルタイムエンコード(ライブ配信等)にも使えます。主な弱点は圧縮効率で、H.265と比較して同じ画質を実現するために約2倍のビットレートが必要です。現在でもYouTube・Netflix・Disney+等の主要プラットフォームで標準的に使われています。

H.265(HEVC)の特徴

H.265(High Efficiency Video Coding・HEVC)は2013年に規格化されたH.264の後継コーデックです。改良されたコーディングユニット(最大64×64ブロック)・パラレルデコード・並列処理改善などにより、H.264比で約50%高い圧縮効率を実現します。同じ画質をH.264の約半分のビットレートで実現でき、4K・8Kの高解像度動画の配信に特に効果的です。

対応デバイスはH.264より少ないですが、2020年代の主要なスマートフォン・PC・テレビはH.265のハードウェアデコードに対応しています。AppleのiPhone・iMac・Apple TVは早期からH.265をサポートし、特にiOSのHEIF(静止画)とHEVC(動画)フォーマットが標準となっています。YouTubeもH.265での配信を行っています。

圧縮効率と画質の比較

H.265はH.264の約50%のビットレートで同等の視覚的品質を実現します。例えば1080p 30fps動画でH.264が8Mbpsで提供する品質を、H.265は約4Mbpsで提供できます。これにより4K・8K動画の現実的な配信が可能になりました。4K UHD(3840×2160)をH.264で配信するには30〜50Mbps以上が必要でしたが、H.265では15〜25Mbpsで同等の品質を実現できます。

ただし、「同等の視覚的品質」は主観的評価を含み、コンテンツの特性(動きの多さ・ノイズ量・テクスチャ等)によって差があります。H.264とH.265の画質差をブラインドテストで識別できる人は限られており、適切なビットレート設定であればどちらも非常に高品質な映像が得られます。

エンコード速度と処理負荷

H.265のエンコードはH.264より処理負荷が高く、エンコード速度が遅くなります。同じハードウェアで同じ動画をエンコードした場合、H.265のエンコード速度はH.264の2〜5倍の時間がかかることがあります(ソフトウェアエンコードの場合)。ただし、最新のCPU・GPUはH.265のハードウェアエンコードに対応しており(NVIDIA NVENC H.265・Intel Quick Sync H.265・Apple VideoToolbox H.265等)、ハードウェアエンコードを使えば速度問題は大幅に改善されます。

リアルタイムエンコード(ライブ配信)ではH.264の方が処理負荷が低く安定しています。OBS Studioでは一般的にライブ配信にH.264、録画にH.265を使うことが推奨されます。VideoAudioTuneは映像を再エンコードしないため(ストリームコピー)、映像コーデックによる処理時間の差はありません。

VideoAudioTuneでの対応

VideoAudioTuneはH.264またはH.265(HEVC)でエンコードされたMP4・MOVファイルの両方に対応しています。映像ストリームはffmpeg.wasmの-c:v copyオプションでそのままコピーされます。H.264入力の動画はH.264のままで出力され、H.265入力の動画はH.265のままで出力されます。映像の再エンコードが発生しないため、映像コーデックによる画質の変化はありません。

ただし、ブラウザがH.265のデコードに対応していない場合、VideoAudioTuneのプレビュー再生が正常に機能しない可能性があります。SafariはH.265に対応していますが、Firefox・ Chromeのサポートは限定的な場合があります。プレビューが映らなくても、Export処理自体はffmpeg.wasmが行うため音声処理は正常に完了します。

まとめ

H.264は互換性・速度・実績においてH.265に優れ、H.265は圧縮効率・ファイルサイズ削減においてH.264に優れます。4K・高解像度コンテンツにはH.265が有利ですが、広い互換性が必要な場合はH.264が安全な選択です。VideoAudioTuneは両コーデックに対応し、映像の再エンコードなしに音声処理が可能です。